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アナログシンセ・オーケストレーション

自分は12月生まれなのか、この年の瀬の慌ただしさに結構慣れてたりする。気がつくと自分の誕生日も過ぎひとつ歳をとり、クリスマスを横目に仕事をし、もう正月だよ。2008年は忙しかったけど、得るものもたくさんあった良い年だったな・・2009年はどんな年になるんだろう・・いろんなことで変化のあった年だった。今まで当たり前だったことがそうじゃなくなったり、今まで考えられなかったことがノーマルになったり、得るものもあったけど失うものもあった。人間って歳を重ねていろんなことがうまく淘汰されていくんだなぁなんて思ったり。

レコーディングやらプリプロやらスコア・ライティングやら、こもって夜中までやってます。今やってるのは、角松さんのニュートラック。mini moogを5声ダブルで計10回重ねて、さらにUltra Analogというソフト・シンセで作ったアナログ・ストリングス風な音色でそれをなぞって、みたいな作業をやってます。

まず5声のアンサンブル(まるで弦楽合奏の6.4.2.2.1的な)のスコアを書く。mini moogはモノフォニック・シンセなんで単音しか出ない。なので1声づつ丁寧に単音弾きしてレコーディングしていく。そしてそれをダブる。ダブる時にピッチはもちろんLFOのスピードからポルタメントの幅まで少々変える。(ダブる=同じことを二度重ねること。LFO=音程や音色や音量を変調して、音に揺らぎを加える部分。ポルタメント=音と音の音程間をなめらかにスライドさせること)その後、質感の全く違うポリフォニック・シンセ(できればデジタル色の強いピッチが正確なソフト・シンセなど)で、同じことを重ねる。moogだけだと、1声につき20回ぐらい重ねないといいディメンジョン効果が出ない。(冨田勲さんがやっていた例の手法のように。)ただ、10回重ねるだけでも半日仕事。(笑)ぶっちゃけしんどいし、そんな時間は僕にはない。(笑)なので僕は自分なりの方法でやってみた。したら、めちゃくちゃいいっ!!いわゆるシンセ・パッドを一回で両手で弾くよりも、格段に一音一音に説得力が出て、アナログ感丸出しのとても暖かいおいしいサウンドになった。マンハッタン・トランスファー「Smile Again」で、デヴィッド・フォスターが弾くシンセ・ストリングス的だったり、エミール・デオダート「Love Island」でのイントロのシンセ・オーケストレーションだったり、そういうの。

やっぱコツコツ作らないと絶対にこういう質感にはならないんだよね。昔はこれをアナログレコーディング(24chアナログテープレコーダーによるレコーディング方法)でやっていたんだよなぁ・・・スティーヴィーの「汚れた街」とか、マイク・オールドフィールドの「チューブラベルズ」とか・・傑作はやっぱ冨田勲氏の一連のクラシックもの!ドビュッシーやムソルグスキー、ラヴェルやストラヴィンスキー(みな大好きな作曲家)をmoogIIIを重ねて一人ダビングでやっちゃう凄いシロモノ。気の遠くなる作業。だけど冷たい電子音がまるでアコースティック楽器のような響きを持つようになる。有機的なサウンドになる。先人達は偉大だよね。

そんなわけで、今年はこれが最後になるかもしれません。31日まで超多忙なので。

みなさん、2008年はいろいろとありがとうございました!来年も宜しくでーす!良い年になりますように!(^_^)

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